webメディアにとって欠かせないのが、高品質な記事です。メディア企業にとって記事を作成する費用は必要不可欠なものの、出来る限り安くしたいのが本音ですよね。また、高品質な記事書くためにはある程度の制作スキルも必要です。その際に便利なのが、記事作成代行会社です。記事作成代行会社は記事を作成する専門会社なので、自社の記事作成を一任することが可能です。しかし、最近では1文字1円以下で受ける会社も多く、納品される記事の質がどんどんさがり、トラブルも激増しています。今回はそんな1文字1円以下で受ける記事作成代行会社の注意点と依頼してはいけない理由をお伝えしていきます。
1文字1円で外注した結果どうなったか
弊社はメディアやECサイトを運営しており、その昔、1円単価で1000記事を外注したことがあります。当時はマニュアルも簡素的なこともありましたが、それはそれはひどい記事だったことを覚えています。記事はそのまま使えるどころか、誤字脱字だらけ。事実と異なる情報も多々あり、社内で再度検収する必要がありました。
1文字1円で外注した詳細
内容:地域情報のライティング
文字数:1記事1000文字
記事数:1000記事
外注工程:ライティング・検収
酷い記事はゴミになるどころか4倍コストになる
大量に依頼している場合(そもそもテストで数記事依頼するべきです)、低品質な記事が雑多に納品されることになります。中にはいくつか使える記事もあるので、まずは大量の記事を精査することになります。使える記事、修正する記事、捨てる記事、のように。精査をしたら、修正を行うことになります。もうこの時点でトリプルコストです。修正したら、社内でダブルチェックをし、再度修正をして完了です。合計でクワドループル(4倍)コストくらいでしょうか。
酷い記事が上がってきたら、捨てる勇気も大事です。作り直すと倍以上のコストになるので・・。
記事作成における料金相場
内製するとライティングだけで1円を余裕で超える
平均は1時間に800文字が目安
ライター初心者が1時間に書ける文字数の相場は、約600文字前後です。東京の最低賃金が1000円なので、最低賃金を守るとすると文字単価で約1.2円必要です。東京でライターを雇って内製するのであれば、もうここで1文字1円以下という価格設定がいかに破綻しているか、ということがご理解頂けるかと思います。
クラウドソーシングにおける相場は年々高くなっている
一方、内製以外の安い手段としては、クラウドソーシングでの外注となります。ランサーズ、クラウドワークス、シュフティなど。一般的に、クラウドソーシングで依頼する場合の文字単価は案件によりバラバラです。専門性が高く、事前情報が必要になればなるほど文字単価は高くなります。
また、ここ数年でメディアが爆発的に増え、ライターの需要が増えているという背景があります。ライターになる人自体も増えていますが、それ以上にメディア側が増えているので、単価も上昇傾向にあります。
1文字1円以下で記事代行会社に依頼してはいけない理由
記事の質を担保できない
ライティングの質が落ちる
単刀直入に言うと、良い記事を書くことができないからです。文字単価が安くなればなるほど、雇えるライターの質が落ちてしまいます。
1文字1円で受ける会社にかかる費用としては、取り仕切るディレクター費用と文字を書くライター費用に分けられます。
粗利率が30%だとして、20%がディレクター費用、50%がライター費用というのが相場です。50%とすると、1文字0.5円の計算になります。ライター初心者が1時間に書ける文字数の相場は、約800文字前後です。1文字0.5円とすると、1時間当たりで400円しか稼げないのです。
ライターからすると、早く書けないとお金にならないので、事前に調べたりチェックする作業が削られます。そして考えることなく、抽象的な文章がひたすら生成されることになります。
ライターの質が落ちる結果、低品質な記事が出来上がる
具体性が欠けた名詞の羅列
低品質な記事で多いのが、名詞の羅列です。ライターは通常、『事実を調べる→想像し分かりやすい伝え方を考える→ライティングする』という工程を経てライティング作業を行う必要があります。この3つの工程の中で最も時間がかかるのが、『想像し分かりやすい伝え方を考える』という部分です。ライターは単価が安いと、『想像し分かりやすい伝え方を考える』という作業をすっ飛ばし、事実を名詞でそのまま羅列してしまう傾向にあります。
- 悪い文章例:枕がテーマの場合
「低反発枕」「高反発枕」の二種類から選べます。カラーバリエーションはレッド・イエロー・ブルーの三色。平均的な枕の高さは3〜4㎝、男性の平均が5cm、女性の平均は3cmです。 - 良い文章例:枕がテーマの場合
高反発枕は、手で枕の表面を押しても中々沈まない強い反発力を持つ枕です。跳ね返りが強いため、頭を動かしやすいという特徴があります。朝起きたときに首や肩が痛いのは、寝ている間にリンパの流れが滞っていた証拠。目覚めの悪い方には、寝返りを促し血行を良くする高反発枕をおすすめします。
事実が異なる文章
前出のライティングを行う工程で『事実を調べる』とありましたが、低品質な記事ではそもそも事実が誤っていることが多々あります。ライターは事実をしっかり調べる時間も惜しいので、誤った情報をそのまま載せてしまっているのです。さらに酷い文章では、土地軸や時間軸もグチャグチャになっているパターンが見られることも。文章として成り立っていないどころか、その記事を公開してしまうとユーザーに嘘をついてしまうことになりかねません。
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悪い文章例:渋谷がテーマの場合
渋谷は東京屈指のオフィス街です。大通りには、松屋銀座やGINZASIXなどたくさんの百貨店が軒を連ねます。渋谷駅前にあるハチ公の銅像は2000年に作られたのち、20年以上も渋谷の象徴として親しまれています。 -
良い文章例:渋谷がテーマの場合
渋谷は東京屈指の繁華街です。渋谷駅前を通る宮益坂と明治通りには、ヒカリエやマルイ、西武百貨店などたくさんの百貨店が軒を連ねます。渋谷駅前にあるハチ公の銅像は1948年に再建されたのち、60年以上も渋谷の象徴として親しまれています。
一文が長すぎる文章
悪い文章例:
丁度良いサイズ感と高級感のあるデザインに加え、おしゃれな雰囲気の漂うデザイナーズチェアです。
良い文章例:
無段階式のチェアで、27~30㎝が目安とされているテーブルと椅子との適度な差尺に合わせることが出来ます。また高級感のあふれるブラジル産の牛革生地を使用。使い込むほどに革の色合いや質感が変化するので、おしゃれな風合いを楽しめます。
ここで挙げたのは3例だけですが、挙げるとキリがありません。弊社では、ライティングの質に関する指摘項目だけで20項目以上あります。もしライターが低品質な記事を納品してきた場合、通常ライターがチェックし考えながら行う部分を、企業が全て肩代わりして修正しなければならないのです。
低品質な記事を納品されることで、企業が一つ一つチェックしていくのがいかに大変かは、ここでわかりますよね。
- ここまでの結論
- 文字単価を落とす
- →ライターが早く書こうとする
- →ライターは調べる時間を削る
- →書き上げた後チェックしない
- →低品質な記事の出来上がり
安すぎて文章チェック・校正を行う予算がない
記事作成において、必要な工程はライティングだけではありません。記事作成後には、ライターとは異なる第三者がチェック及び校正作業を行う必要があります。
チェックには三つあり、
になります。
- コピーチェック
コピーがないか調べ、また構成が指示通りに書かれているか確認する必要があります。 - 誤字脱字チェック
文章に誤字脱字がないか調べます。誤字脱字があれば都度修正していく必要があります。 - 文章チェック
文法的な誤りや言い回しがおかしくないか、一文ずつ全文を読んでチェックします。
チェック作業は労働集約型であり、人が見て行う必要があります。その為、1文字1円で利益を出そうと、削るしかなくなるのです。
文章チェック・校正が行われない結果、低品質な記事が納品される
この3つのチェック作業が削られて作られた記事は、もはや記事とは言えないほどの品質になります。
文字単価を落とす
→ライターが早く書こうとする
→ライターは調べる時間を削る
→書き上げた後チェックしない
→低品質な記事の出来上がり
→チェック・校正なしで納品
→低品質が納品!
記事作成において、安くて良いものはない
日本語で記事を作る限り、安くていい記事を作ることはかなり難しいことになります。というのも記事作成は労働集約型の仕事なので、安くしようとすると安い人件費で人を雇うことが前提にあるからです。
製造業のように国を超えて生産できるものであれば安い人件費で人を雇うことはできます。しかし、日本語を書けるのは日本人のみ。国家間賃金格差を利用することは難しく、また日本国内の地域格差は高くないので、人件費を安く抑えることは不可避なのです。
さらに記事を作るだけでなく、SEOにもユーザーにとっても有益な記事にするには考えて書く必要があります。ここから、労働集約+知的労働という難易度の高い仕事に。依頼主の要望が高くなればなるほど、1円で書くことは不可能に近くなるのです。
それでも最後は依頼主の自己責任
「弊社は質が低くてもいい」という場合は、一度発注してみることをおすすめします。